平成24年度 「総合旅行管理者試験」 を振り返って

平成24年度の総合旅行管理者試験を振り返ると、全体的な試験内容の構成については、問題総数は139問(@旅行業法25問、A約款30問、B国内旅行実務32問、C海外旅行実務52問)と前年と同じ出題構成でしたが、2010年度から採用された「該当するものをすべて選びなさい」形式による出題が第1時限科目で拡大されただけでなく、第2時限科目にもかなり取り入れられていました。

 第1時限では、選択肢3つ又は4つの中から「該当するものをすべて選びなさい」とする設問スタイルの出題が「旅行業法」25問中の15問と主流化して難易度が高まり、「旅行関連約款」でも20問中6問が出題され、次年度以降も定着することが予想されます。

 第2時限は、出題内容に大きな変化はないものの、「国内旅行実務」の設問が第1問から第4問、「海外旅行実務」の設問が第1問から第8問と、設問数のくくりを大きくする変更がありました。国内旅行実務の試験内容については、“すべて選びなさい”形式が8問出題されましたが、全体的にオーソドックスで難易度は「ふつう」でした。海外旅行実務については“すべて選びなさい”形式が18問出題され、試験内容については観光知識でかなり難しい出題がありましたが、全体的な難易度は「ふつう」でした。加藤弘治の「総合旅行管理者試験テキスト」、「総合旅行管理者試験予想問題集」をしっかり学習した方は、正解6割以上の合格点を確保できた方が多かったと思われます。

科目ごとの出題内容


@ 旅行業法の出題について

 出題総数は前年度と同じ25問でしたが、25問中15問が“すべて選びなさい”の出題形式に変更され、旅行業法についての多様で正確な知識を問う内容が多く、難易度が高い選択肢が目立ちました。前年までと異なり、旅行業法科目での高得点の確保はかなり難しかったと思われます。

 出題のテーマと出題数は、登録制度1問、登録業務範囲1問、登録拒否1問、旅行業務取扱管理者1問、旅行業約款1問、取引条件説明2問、旅行書面1問、標識1問、旅程管理1問、禁止行為1問、受託契約1問、旅行業協会業務1問の13問、“すべて選ぶ形式”で、苦情解決1問、業法の目的1問、旅行業の登録1問、営業保証金1問、旅行業務取扱管理者の職務1問、取扱料金1問、外務員1問、募集広告1問、旅行業者代理業1問、業務改善命令1問、登録取消し1問、弁済業務保証金1問の計12問が出題されました。配点は@4点×全25問=100点です。 


A 旅行関連約款の出題について

 出題総数は前年同様30問でした。第1問は「旅行業約款」から15問、“すべて選ぶ形式”が5問、第2問は「国際運送約款」から5問、第3問は「国内旅客運送約款」から4問、第4問は「モデル宿泊約款」から1問が出題されました。出題内容はいずれもオーソドックスで基本的な出題が多く、科目全体の難易度は「ふつう」でした。

 出題テーマと出題数は、第1問は、募集型企画旅行契約2問、通信契約1問、募集型企画旅行の契約書面・確定書面1問、募集型企画旅行の契約変更1問、募集型企画旅行の取消料1問、旅行業者の旅行開始前契約解除1問、募集型企画旅行の旅程管理1問、募集型企画旅行の責任1問、企画旅行の見舞金1問、旅程保証1問、受注型企画旅行契約1問、手配旅行契約1問、手配旅行の払い戻し1問、渡航手続代行契約及び旅行相談契約1問の計15問、“すべて選ぶ形式”で、募集型企画旅行契約1問、募集型企画旅行契約の払戻し1問、特別補償1問、変更補償金1問、団体・グループ契約1問の計5問。
 
 2者択一制の第2問から第4問は、第2問は「国際運送約款」5問(外国発券の航空券、航空券の適用運賃、未使用航空券、座席の指定、航空会社の責任)、第3問は「国内旅客運送約款」4問(受託手荷物、共同運航の賠償責任、旅客の同意、手荷物の賠償責任)、第4問は「モデル宿泊約款」1問(チェックイン規定)でした。

 出題総数は合計30問、配点は第1問が@4点×20問=80点、第2問〜第4問の2択問題が@2点×10問=20点で合計100点です。


B 国内旅行実務の出題について

 出題総数は前年度と同じ32問の出題であり、第1問から第4問で構成されています。第1問と第2問の「国内観光知識」は全20問・40点、第3問と第4問の「運賃・料金」は全12問・60点で合計100点です。平成23年は「国内観光知識」が前半に「運賃・料金」が後半に配置されており、国内観光知識」では初めて“すべて選ぶ形式”の出題が20問中4問出題されました。本年度の国内旅行実務科目の出題は基本的な出題が多く、全体としての難易度は「やや優しい」内容でした。

 第1問は、国内観光知識の16問(北海道地方、東北地方、関東地方、中部地方、静岡県、奈良県、中国地方、北海道の岬、三陸鉄道、山梨県の寺院、長崎県の祭り、沖縄の世界文化遺産、“すべて選ぶ形式”で関東地方、国立公園と山岳、温泉と観光地、郷土料理)、第2問は4問(紀伊半島、隠岐諸島、香川県、大分県)でした。

第3問は国内航空の3問(“すべて選ぶ形式”が2問と払戻し1問)で、第4問はJRの9問(大人片道普通運賃、JR営業規則3問、特急料金の計算、通過連絡運輸の特急料金、乗継割引の適用、特急・グリーン券の払戻し、JR時刻表)で、9問中の2問は、初めて“すべて選ぶ形式”の出題になっていました。


C 海外旅行実務の出題について

 出題総数は前年度と同じく52問で配点は200点でしたが、出題の構成は第1問から第8問に分類されていました。

 第1問と第2問は「国際航空運賃」の出題で、第1問は日本発米国行JL/AAダイナミックセイバー7・エコノミーセイバー運賃の出題4問、第2問は日本発欧州行NHエコ割7・スーパーエコ割運賃の出題4問であり、前年度とほぼ同じ出題構成でした。

 第3問と第4問は「出入国法令」の出題で、第3問の「旅券法」4問のうち3問は“すべて選ぶ形式”、第4問は「入管法」再入国許可1問、「関税法」の通関2問、動物検疫1問で“すべて選ぶ形式”が3問でした。

第5問は「旅行英語」の出題で、ツアーオペレーターとのサービス協定書の英文から5問、第6問は客室提供契約書の英文から3問でしたが、
全8問中の6問は“すべて選ぶ形式”なっていました。

 第7問は「海外観光知識」の出題20問(イタリア北部、氷河特急、ロンドン西部の城、モンサンミッシェルの名物料理、オランダの水郷地帯、ミノア文明、ダビンチ作品、エジプトの観光地、カナダの北西部、アメリカの国立公園、ハワイカウアイ島のビーチ、カナダ東部の都市、ナスカ地上絵、マラッカ海峡の島、仏教の四大聖地、孔子の故郷、洛陽の寺院、ミャンマーの仏塔、“すべて選ぶ形式”で観光資源と都市・国、オーストラリアのオプショナルツアー)でしたが、かなり難しい出題がありました。

 第8問は「旅行実務」の出題8問(国名と都市コード、航空会社コードと航空会社、時差、OAG航空時刻表、所要時間、トーマスクック時刻表読み取り2問、入国審査)でしたが、“すべて選ぶ形式”が8問中の4問となっていました。

 海外観光知識は各2点配点で、国際航空運賃、旅行実務、出入国法令、旅行英語の各分野はそれぞれ8問の出題で各5点配点(合計200点)のスタイルは変わりませんでしたが、出題の順番は、受験者の苦手意識が強い国際航空運賃を最初にして、出入国法令、旅行英語、海外観光知識、旅行実務の順に配列されていました。


 全体的な印象はオーソドックスな問題が多く、難易度は「ふつう」レベルと分析できます。しかし、“すべて選ぶ形式”の出題が第1時限、第2時限とも多数設定されたことから、豊富で正確な知識量を問う難解な出題が多くなっていること、第1時限科目もしっかり学習しなければ第2時限同様、高得点は確保できない試験になっています。また、第2時限科目は解答時間がどうしても不足するので、合格点を確保するためには、必要な知識の習得だけでなく、参考資料を素早く正確に読み取る訓練や出題傾向を完全把握することが必要ですね。

(2012/11/02 トラベルゼミ 加藤弘治)

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