お酒と酒造り発祥の地 三輪の歴史体験ツアー

 観光ビジネスを専門とする中小企業診断士で構成している合同会社観光ビジネス研究会(経営革新等支援機関認定)では、毎月、地域の観光地を視察し、視察終了後、参加者に記入いただいたアンケートを集計して、現状のSWOT(強み・弱み・機会・脅威)を用いて整理し、観光ビジネスの専門家の視点から課題を抽出して、具体的な提案を実施しています。

 今回、第6弾として、奈良県桜井市「三輪」での歴史とお酒を体験するツアーを取りあげます。

視察日時:2013年9月22日(日)13:00〜 

視察場所:奈良県桜井市三輪、今西酒造

 


お酒と酒造り発祥の地 三輪の歴史体験ツアー アンケート結果


利用して、良かったと思う点は何でしょうか?

<大神神社ツアー>

・ガイドの説明が、聞き取りやすい大きな声で、時折、ユーモアやクイズ、写真などを交えながらの説明で工夫され、大変わかりやすかった。他所で育った人だからこそできる、上手に三輪の特徴をとらえたガイドだと感じた。

・ガイドが、にこやかで明るく、フレンドリーな感じで好感が持てた。時々人数を数えて、人数が足りないとなれば、すぐに探して合流できるようにされたこともあり、お気づかいが充実していた。特に、最後にツアー客一人一人へのお礼とともに、飴と手書きのメッセージカードを手渡されたことには、心遣いを感じた。

・ツアー途中にあるお店前においても、地元の大和野菜や地元の名産、お勧めのお店など、初めて訪れる客の興味を惹くような説明があった。

・ツアーに、お猪口のお土産と大神神社お参りのお供え用のお酒と卵が含まれていた。

・大神神社には初詣で何度も訪れていても、また違ったおもむきがあり、周辺神社のご利益、薬井戸、三輪山登拝など初めて知ることが多かった。

大神神社.JPG

<酒蔵ツアー>

・若い社長自ら率先してのガイドに好印象が持て、社長の熱意がひしひしと伝わるものだった。また、三輪の地に最後まで残った酒蔵としての心意気、誇りも感じた。

・説明の内容も酒造りの工程やお酒の違いが生まれる理由など、一通りの説明資料も揃いわかりやすい説明であった。

・酒の銘柄ごとに「香の高低」「味の濃淡」の2軸で表したマップを使いながら、何をポイントに利き酒するのかの事前説明があってわかりやすく、自分の好みを改めて認識することもできる。また、様々なお酒の試飲ができ、試飲の順番についても、きっちりとお酒の持つ味等の特徴により配慮され決められていた。

・押しつけがましい自社の土産などの宣伝が無いことに好感が持てた。

試飲体験.JPG

利用して、こうした方が良かったと思う点(改善すべき点)は何でしょうか?

<ツアー>

・お酒が飲めない人、子供連れのツアー客には事前に飲酒の可否を確認し、駅前店等で販売しているお菓子などの試食を用意しておくとよいのではないか。

・主要なパワースポットでの写真撮影サービスや、ツアー途中に立ち寄ってお茶とお菓子の試食等ができるところが欲しい。

・新しいお酒の飲み方の提案(例えば、ロック)や各々のお酒に合う料理の説明等を行う。また、ツアー客に目隠しでラベルをあてる”酒利き競技(ゲーム)“をやる等の演出があっても良い。ツアー客に酒通の方がいれば、それぞれの酒がどんな料理が合うか等の意見を聞いて、データ蓄積をする。

・遠方の方など、荷物の多いツアー客用に、ツアー中の荷物預かりのサービスがあれば良かった。

・”酒”をテーマにしたツアーなので、”三輪神社の杉玉””聖水””活日神社”のほか、自家用の”田んぼ”見学を加えてはどうか。お供え体験.JPG

・試飲会を蔵主夫婦で行ってはどうか。試飲会場を華やかにすることは、参加者の気持ちを和らげ、酒造りの理解を深めることにつながる。

・ガイドさんの衣装について、神社とのかかわりを感じさせるために、例えば朱色のハッピと白色のパンツスタイルにすれば、参加者だけでなくまわりの方々にも目立つ。また、ツアー参加者全員に今西酒造のハッピを着てもらうと、迷子にならず、活動自体の宣伝にもなって効果的ではないか。

・酒蔵見学が仕込み時期でない場合は仕込み時の写真や映像、麹菌と味の関係など深いところまでの解説等で補うとよいのではないか。

 

<お土産販売>

・日本酒を自宅に持ち帰るのは重いので、お土産の宅配サービスを明示して欲しかった。

・お勧め酒セットを設定する。

・酒蔵においてもお酒とともに、他の売店で売っていたそうめんのフシなどの土産を買うことを誘引するような仕掛けがあっても良かった。

・ツアーに参加された方への、お土産の割引、今後の新酒などの案内(DM)等をするための顧客情報の収集(情報提供希望者のみ)などがあれば良かった。どぶろくなど季節限定品もツアー参加者が予約できるように(郵送もしくは阪急百貨店のお店での受け取りなど)、『「12月の”にごり酒”に興味のある方」は、お知らせをしますので連絡先をご記入ください』のペーパーを配布するか、ノートを回してはどうかと思う。

 

<他の観光施設>

・三輪全域のお店が連携をすればより良くなるのではないか。

 

<その他>

三輪駅前.JPG


・京阪神地区から三輪駅までのアクセスや(最寄りのJRの本数も少ないため)三輪駅の時刻表案内があれば良かった。

・ツアー参加者が再度、三輪を訪問した時のリピーター特典があればリピート率も上がり良い。

・帰りの電車の時刻をチェックしながら、駅近くでお土産物を買う時間を20−30分間くらい、そっと提供する工夫があった方がよい。


以下は、観光ビジネスを専門とする中小企業診断士による課題の抽出と提案です。

○三輪地域の他業者との連携

今西酒造単独の酒造りをテーマにしたツアーの他、同様に、そうめん発祥の地である「三輪そうめん」や「みむろ最中」といった歴史ある名産品などとタイアップしたツアーの企画を行う。

 

○ファンになっていただくための仕掛けづくり

 ・ツアーにおいて、説明資料と一緒に今西酒造の宣伝用パンフレット、配送の注文書も一緒にセットにして配布する。冊子やパンフレットがあると、ツアー参加者がツアー後に家族や友人に話しをする時に話しやすく、三輪地域、今西酒造の両方の宣伝にもなり、口コミで広がる可能性が高まる。

 ・実際に、酒蔵を見学し蔵主のお酒造りにかける思いを聞くと、当酒蔵のファンになる人も多い。希望者には、個人情報を収集し、新酒や季節限定商品、蔵元での様々なイベントなどの案内を、DMやメール、ソーシャルメディア等で行い、ファン作りとファン拡大を図る。

薬井戸.JPG


○三輪地域全体での三輪のブランド創り

「大神神社」「三輪山」「狭井神社」「薬井戸」など三輪地域の歴史的に素晴らしい観光資源や、「三輪そうめん」「みむろ最中」などの名産品とともに、三輪地域全体を「三輪ブランド」というとらえ方で、地域全体の活性化の取り組みを行う。


○酒の作り手としての食への提案

これまで、純粋に酒の味や風味を楽しむことのほか、日本酒と日本料理(高級料理が多い)との相性が語られることが多かったが、今後は、より酒の作り手としての主張を行い、地元の名産の三輪そうめんとの相性や、イタリア料理などの洋食、若年や女性、中年層向けの大衆的な料理にも対象を拡げて、日本酒(今西酒造製の具体的なラベル)との相性を提案していく。

 

○女性客及び外国人観光客の誘致

・大神神社などの史跡めぐりや三輪山の歴史好き、パワースポット好きの女性をターゲットにツアーをPRする。

・海外においては、和食とともに日本酒ブームとなっているため、三輪を日本酒発祥の地としてPRし、旅行会社とのタイアップやソーシャルメディア等による情報発信を行い、外国人観光客を誘致する。

 

○三輪駅や今西酒造へのアクセスの明示

 ・ホームページや観光ツアー案内に、京阪神から三輪駅のアクセスや三輪駅から今西酒造までのアクセスをわかりやすく明示する。また、外国人観光客を呼び込むためには、関空から今西酒造までのアクセスルートを外国語表記で明示する。

 

○日本を代表する観光酒蔵として知名度を上げる

・日本酒発祥地といわれる奈良の中でも、今西酒造ほど観光に力を入れている酒蔵はないと考えられるため、日本を代表する観光酒蔵としてのプロモーションを積極的に実施し、酒造メーカーとしての知名度を上げる。


○駅前店と参道店の有効活用

・両店舗で地域の観光案内、自社のツアーの紹介や受付、本店への誘導などを行って観光客を誘導し、同時に販売商品の「ついで買い」を促進する。

 

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