『東大阪ものづくり視察研修ツアー』 2018年9月22日
【視察内容】
・1社目:㈱松よし人形(雛人形工房)
・2社目:ワショウ金属工芸(NHKのスゴ技にも出演)
今回、東大阪ものづくり視察研修ツアーでは東大阪市にある雛人形を作成している「㈱松よし人形」さんと、ヘラ絞り(手絞り)加工という技術を使って金属加工を行っているワショウ金属工芸さんを訪問させていただきました。
まず最初に、(一社)大阪モノづくり観光推進協会の専務理事・事務局長の足立氏に東大阪のものづくりの歴史についてのお話を伺った後に、㈱松よし人形に訪問。
その後、ワショウ金属工芸に訪問し、夜は㈱松よし人形の小出会長と小出社長、ワショウ金属工芸の土屋部長を交えての懇親会をさせていただきました。
1.(一社)大阪モノづくり観光推進協会
専務理事・事務局長 足立克己氏講話
(一社)大阪モノづくり観光推進協会の足立氏からは、東大阪のものづくりの歴史、「ものづくり観光」を通じた地域活性化、「ものづくり観光」を行う事によりいかにして若者たちにモノづくりへの関心を持ってもらうかについてのお話を伺いました。
足立氏の話を聞く参加者
2.㈱松よし人形(人形工房松寿)
・主要業務:雛人形、市松人形、尾山人形の製造卸
・従業員:約20名
・設立:昭和48年
東大阪市の布施駅近くにある社屋
最初に訪問した㈱松よし人形様では、まず社長の小出様より自社で作っておられる製品(雛人形・市松人形・尾山人形)についての説明を受けました。
㈱松よし人形では、昔からある伝統的な人形だけではなく、ロボット向けの衣装や若者向けの商品として球体関節人形を現在取り扱っておられます。
小出社長より商品説明を受ける参加者
実際に人形の組み立て作業を行っている現場を見学させていただきました。
それぞれ人形作成は作業工程ごとに分業がなされており、それぞれの担当者が担当の作業を黙々をされていました。
また、㈱松よし人形様では、商品の品質チェックを重視されており、いかにして高い品質の人形を作成するのかについての方法と心構えについてのお話も伺いました。
人形の作成現場
小出会長による人形作りの実演
商品を収納するケースについての説明
最後に作成した人形を収納するためのケースについての説明があり、人形の取り扱いがわかりやすいよう、また、収納した人形が傷まないように創意工夫がなされていることについての説明を受けました。
3.ワショウ金属工芸
・主要業務:ヘラ絞り(手絞り)・金型製作・プレス・溶接
・従業員:2名
・設立:昭和60年
参考動画:
3代の系譜 誰にも負けぬ情熱
へら絞りのワショウ金属工芸(朝日デジタル動画)
2社目に訪問したワショウ金属工芸では、土屋社長よりヘラ絞りについての説明を受けました。
ワショウ金属工芸で製造している製品は、医療機器、航空部品、船舶部品、半導体部品として使用されています。
また、加工に使用する道具(ヘラ棒や機械)や金型を自社にて製造を行っており、そのためコストを抑えつつも高い精度で製品製造ができるようです。
土屋社長による説明
土屋部長による説明
ヘラ絞りの実演
(技術について)
「自動機ではできないような薄いものを作っている。」
「旋盤のように削りだすわけではないので歩留りがよい。」
「試作開発品が多い。」
「製品を絞っている時に感覚的に
「今は何ミリか」ということがわかってくる。」
「この感覚は感性。教えれるものではない。」
「仕事を任せれるまでには最低10年はかかる。」
ヘラ絞りにて作成したグラス(直販あり)
上記2社を訪問後には懇親会があり、㈱松よし人形の小出会長と小出社長、ワショウ金属工芸の土屋部長を交えてざっくばらんにお話を聞かせていただきました。
今回の訪問で一番印象に残ったのは、㈱松よし人形の小出会長とワショウ金属工芸の土屋社長がそれぞれ「職人が一人前になるには10年はかかる」といったニュアンスのことはお話されていたことです。
差別化できるほどの技術・品質を担保するためには長い修行が必要なのかもしれません。
<執筆:観光ビジネス研究会 神谷邦男 研究員>